内定承諾書とは何か(法的な位置づけ)
内定承諾書とは、企業からの内定(採用内定)に対して『入社の意思があります』と応募者が表明する書類です。『入社承諾書』『誓約書』などの名称で求められることもあります。多くの企業が提出を求めますが、法律で義務付けられた書類ではありません。
内定の成立=労働契約の成立
法的には、企業の採用内定通知に応募者が承諾の意思を示した時点で『始期付・解約権留保付労働契約』が成立すると解されています。つまり内定承諾書のサイン自体よりも、内定を承諾するという意思表示が法的な意味を持ちます。承諾書はその意思を書面で確認するものという位置づけです。
労働条件通知書との違い
- ●内定承諾書=応募者→企業への『入社します』という意思表示の書類
- ●労働条件通知書=企業→応募者への『この条件で雇います』という条件提示の書類(労働基準法で交付が義務)
- ●承諾書にサインする前に、必ず労働条件通知書で給与・労働時間・勤務地などを確認することが重要
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内定承諾書を提出する前に確認すべき5つの注意点
承諾書はサインして提出すると、撤回に心理的・道義的なハードルが生まれます。提出前のこの段階で、条件と意思をしっかり固めておきましょう。
① 労働条件通知書と内容が一致しているか
オファー面談や面接で聞いた条件(年収・残業・勤務地・職種)が、書面に正しく反映されているかを照合します。口頭の約束が書面にないと、入社後に『言った・言わない』のトラブルになります。
② 提出後の入社日・回答期限が明確か
入社日が現職の退職時期と無理なく調整できるか確認します。現職の引き継ぎや有給消化を考えると、提示された入社日が早すぎる場合は相談が必要です。
③ 損害賠償や違約金の記載がないか
ごく稀に、内定辞退時に違約金を課す旨の記載がある承諾書が存在します。これは原則として無効ですが、不安を煽る記載があれば慎重に扱い、専門家に相談しましょう。
④ 本当に入社したい会社か(優先順位の整理)
複数社を比較している場合、第一志望が固まる前に承諾書を出すのは避けたいところです。承諾後の辞退は可能でも、企業に迷惑をかけることに変わりはありません。
⑤ コピーを手元に残したか
提出する承諾書・受け取る労働条件通知書は必ずコピー(または写真・PDF)を保管します。後日の条件確認やトラブル時の証拠になります。
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内定承諾書を提出した後でも辞退できるのか
結論として、内定承諾書を提出した後でも内定辞退は可能です。憲法が保障する『職業選択の自由』により、労働者はいつでも労働契約を解約できると考えられており、民法上も期間の定めのない雇用契約は退職の申し出から原則2週間で解約できます。
辞退できるが、守るべきマナーがある
- ●辞退を決めたらできるだけ早く連絡する(入社直前ほど企業の損害が大きい)
- ●連絡は電話で誠実に伝え、メールでも記録を残す
- ●辞退理由は簡潔に。深掘りされても無理に詳細を語る必要はない
- ●エージェント経由の場合は担当者に伝え、企業への連絡を任せる
損害賠償を請求されることはあるのか
通常の内定辞退で損害賠償が認められることはほぼありません。ただし、入社直前の一方的なキャンセルで企業に具体的・現実的な損害が生じた極めて例外的なケースでは、争いになる可能性がゼロとは言えません。常識的な時期に誠実な手順で辞退すれば、まず問題にはなりません。
提出を急かされたときの上手な対処法
『今日中にサインしてほしい』『他の候補者がいるので明日まで』と提出を急かされ、十分検討できないまま承諾してしまう人がいます。意思決定をコントロールされないために、落ち着いて対応しましょう。
- ✓『前向きに考えています。社内(家族)と相談し、◯日までに必ずお返事します』と期限を提示する
- ✓一般的に回答期限は1週間程度。それより短い要求には理由を確認する
- ✓労働条件通知書がまだ手元にない場合は『書面を確認してから承諾したい』と伝える
- ✓過度に急かす・即決を強要する企業は、入社後の働き方も強引な可能性があるため冷静に見極める
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リクルートエージェントを無料で確認する複数内定を比較中の正しい立ち回り
転職活動では複数社から内定が出るタイミングがずれるのが一般的です。第一志望の結果が出る前に、第二志望の承諾期限が来てしまうこともあります。
選考スケジュールを揃える
面接の段階から各社の選考スピードを把握し、できるだけ内定が出る時期を揃える調整をします。エージェントを使えば、第一志望の選考を前倒ししてもらう、第二志望の回答期限を延ばしてもらう、といった調整を代行してもらえます。
回答期限の延長を依頼する
『他社の選考結果を待っており、誠実に判断したいので回答を◯日まで延ばしていただけますか』と相談すれば、多くの企業は数日〜1週間程度の延長に応じてくれます。隠して引き延ばすより、正直に状況を伝えるほうが信頼を保てます。
内定承諾から入社までにやるべきこと
内定承諾書を提出したら、入社に向けた準備が本格的に始まります。特に在職中の人は、現職の退職手続きと並行して進める必要があるため、段取りを誤ると入社日に間に合わなかったり、現職とトラブルになったりします。承諾から入社までの一般的な流れを把握し、計画的に動きましょう。
現職の退職手続きを進める
退職の意思は、就業規則で定められた期限(一般的に1〜3ヶ月前)を守って直属の上司に伝えます。民法上は期間の定めのない雇用なら退職の申し出から2週間で退職できますが、円満退社と引き継ぎを考えると、余裕を持って申し出るのが望ましいです。退職日は内定先の入社日から逆算し、有給休暇の消化期間も考慮して設定しましょう。引き継ぎ計画を自分から提示すると、円満に進みやすくなります。
入社に必要な書類を準備する
内定先からは、年金手帳(基礎年金番号)・雇用保険被保険者証・源泉徴収票・各種証明書などの提出を求められます。源泉徴収票は退職後に前職から発行されるため、受け取り漏れがないよう確認しましょう。資格や学歴の証明書が必要な場合は、早めに手配しておくと安心です。提出物のリストを内定先からもらい、チェックしながら揃えると抜け漏れを防げます。
入社後のスタートダッシュを準備する
入社日が決まったら、新しい職場で早期に活躍するための準備も始めましょう。配属先の事業内容や業界動向を改めて学び直し、入社後すぐに求められる役割を意識しておくと、スムーズに立ち上がれます。前職の引き継ぎに追われて燃え尽きないよう、心身のコンディションを整えることも大切です。承諾はゴールではなく、新しいキャリアのスタートラインだと捉えましょう。
内定承諾で迷ったときの判断軸
内定承諾書を前に『本当にこの会社でいいのか』と迷うのは自然なことです。人生を左右する選択だからこそ、勢いや一時の感情で決めるのではなく、いくつかの判断軸に沿って冷静に考えることが後悔を防ぎます。ここでは、承諾を迷ったときに整理すべき視点を紹介します。
『転職の目的』に立ち返る
そもそもなぜ転職しようと思ったのか、その原点に立ち返りましょう。年収アップ・キャリアチェンジ・働き方の改善・人間関係の刷新など、当初の目的がこの内定先で実現できるのかを確認します。目の前の不安や条件の細部にとらわれて、本来の目的を見失っていないかをチェックすることが大切です。複数の内定で迷う場合は、各社が自分の転職目的をどの程度満たすかを点数化してみると、優先順位が明確になります。
『不安の正体』を言語化する
迷いの多くは、漠然とした不安から生まれます。その不安が『条件への不満(解消可能)』なのか、『未知への恐れ(誰もが感じる自然なもの)』なのか、『直感的な違和感(軽視すべきでないサイン)』なのかを切り分けましょう。条件への不満であれば交渉やエージェントへの相談で解決できることが多く、未知への恐れであれば情報収集で和らげられます。一方、企業文化や担当者の対応に拭えない違和感がある場合は、その直感を尊重する判断も必要です。
信頼できる第三者に相談する
一人で考え込むと、視野が狭くなり判断が偏りがちです。家族・友人など信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、頭が整理されます。特に転職エージェントを利用している場合は、業界や企業の客観的な情報を持つアドバイザーに相談することで、感情に流されない判断ができます。アドバイザーは『承諾を急かす』立場ではなく、あなたが納得して決められるよう支援する存在なので、迷いを率直に打ち明けて構いません。
承諾を見送る勇気も選択肢
どれだけ考えても納得できないなら、承諾を見送るのも立派な選択です。条件や環境が自分の軸と合わない会社に無理に入社しても、早期離職につながり、結果的にキャリアにマイナスとなることがあります。焦って決めるより、納得できる転職先を改めて探し直すほうが、長い目で見て得策な場合も多いのです。