再就職手当とは何か〜失業給付との違いを理解しよう
まず「失業給付(雇用保険の基本手当)」と「再就職手当」の違いを理解しましょう。この2つの制度は関連していますが、仕組みが異なります。
失業給付は「退職後に仕事が決まらない期間の生活を支援するための給付」です。退職後にハローワークに求職申し込みをし、待機期間(自己都合退職の場合は2ヶ月間の給付制限期間)を経て、求職活動を続けながら一定期間受け取ることができます。失業給付は「毎月認定日に求職活動の実績を報告し、その分の給付を受ける」という仕組みです。
一方、再就職手当は「失業給付の受給期間中に早期に再就職が決まった場合、残りの失業給付を一括で受け取れる制度」です。「失業給付を全部使い切らずに早く就職したら、残った分を一括でもらえる」とイメージすると分かりやすいです。早く仕事が決まるほど、より多くの再就職手当を受け取れる仕組みになっています。
再就職手当は雇用保険法に基づく「就業促進手当」の一種です。厚生労働省が早期再就職を促進するために設けた制度であり、「長期間失業給付を受け続けるより、早く就職した方が総合的に得になる」という政策的意図も含まれています。
再就職手当の仕組みをシンプルに理解する
再就職手当の仕組みを具体的な例で理解しましょう。
例えば「失業給付の所定給付日数が180日」で「失業給付を30日分受け取ったところで再就職が決まった(残り150日)」という場合、残り150日分の給付額の一定割合(60〜70%)を再就職手当として一括受給できます。
逆に「180日分の給付を全て使ってから就職した」という場合は再就職手当は受け取れません(残り日数がないため)。また「給付日数の3分の1未満しか残っていない段階で就職した」場合も受給できません。「3分の1以上残っている状態で就職すること」が最低条件です。
この制度は「早く仕事を見つけるほど得になる」設計になっており、長期間失業して全て受け取るよりも、早期に就職して再就職手当を受け取る方が総受取額が多くなるケースがあります。「失業給付を全部もらいきってから就職する」という考え方より、「早く就職して再就職手当をもらう」方が経済的に有利なことが多いです。
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再就職手当の受給条件〜全て満たす必要がある
再就職手当を受け取るには、以下の全ての条件を満たす必要があります。一つでも満たさない場合は受給できないため、事前にしっかり確認しましょう。
主な受給条件(2026年時点)
- ●雇用保険の受給資格者(失業給付を受けられる状態)であること:退職前に雇用保険に加入していたことが前提
- ●所定給付日数の3分の1以上の日数を残して就職したこと:残り日数が多いほど受取額が増える
- ●待機期間(7日間)の終了後に就職したこと:退職後の最初の7日間以内の就職は対象外
- ●自己都合退職の場合は給付制限期間(2ヶ月)終了後に就職したこと(ただし一定の条件下では給付制限期間中でも受給可能)
- ●新しい就職先での雇用が1年以上継続して雇用されることが確実であること:1年未満の有期契約は基本的に対象外
- ●前職の離職前の事業主に再就職したわけではないこと:退職した会社に戻るのはNG
- ●ハローワーク・人材紹介会社・求人サイト経由など、適切な手続きで就職したこと
- ●過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
よくある受給できないケース
以下のケースでは再就職手当を受け取れないので注意しましょう。自分の状況が対象かどうか分からない場合は、事前にハローワークで確認することをおすすめします。
- ●失業給付の所定給付日数の3分の1未満しか残っていない段階で就職した
- ●待機期間中(退職後7日間以内)に就職した
- ●就職先が1年未満の契約社員・パート・アルバイトなど(雇用見込みが1年以上ない)
- ●独立・フリーランス・個人事業主として開業した場合(別の給付金「常用就職支度手当」の対象になる場合あり)
- ●前職(退職した会社)に再就職した
- ●失業給付の受給手続き(ハローワークへの求職申込)を行っていない在職中の転職の場合
再就職手当の金額の計算方法〜いくらもらえるか計算しよう
再就職手当の金額は「基本手当日額 × 残余所定給付日数 × 給付率(60%または70%)」で計算されます。自分がどれくらい受け取れるかをシミュレーションしてみましょう。
給付率の決まり方
再就職手当の給付率は、就職日時点での残余給付日数によって決まります。残りが多ければ多いほど高い給付率になります。
- ●所定給付日数の3分の2以上が残っている場合:給付率70%(より多く受け取れる)
- ●所定給付日数の3分の1以上〜3分の2未満が残っている場合:給付率60%
具体的な計算例①(所定給付日数180日のケース)
【例①:早期就職・給付率70%のケース】
条件:基本手当日額5,000円・所定給付日数180日・就職時点の残日数135日(180日の4分の3残)
この場合、残余日数135日は所定給付日数180日の3分の2(120日)以上なので給付率は70%です。
再就職手当 = 5,000円 × 135日 × 70% = 472,500円(約47万円が一括支給)
【例②:給付率60%のケース】
条件:基本手当日額5,000円・所定給付日数180日・就職時点の残日数80日(3分の1以上〜3分の2未満)
再就職手当 = 5,000円 × 80日 × 60% = 240,000円(約24万円が一括支給)
早く就職するほど受取額が大きく変わることが分かります。早期就職を心がけましょう。
基本手当日額の確認方法
基本手当日額は「退職前の6ヶ月間の給与(賞与を除く)の1日当たりの60〜80%程度」が目安です(給与水準によって割合が異なります)。正確な基本手当日額はハローワークで失業給付の手続きをした際に「雇用保険受給資格者証」に記載されます。
おおよその見当をつけるために「退職前の給与の月収 ÷ 30日 × 65%」で概算計算することができます(あくまで目安)。例えば月収30万円の場合:30万円 ÷ 30日 × 65% ≒ 6,500円/日が概算の基本手当日額です。
再就職手当の申請手順〜ステップ別完全解説
再就職手当は「黙っていてもらえる」ものではなく、自分で申請する必要があります。申請期限(就職日から1ヶ月以内)があるため、必ず期限内に手続きを行いましょう。
申請の全体の流れ
- ●【ステップ1】退職後すぐにハローワークへ行き、求職申込・失業給付の受給手続きを行う(離職票・マイナンバーカード等が必要)
- ●【ステップ2】待機期間(7日間)を経て、その後求職活動を続ける(自己都合は2ヶ月の給付制限期間あり)
- ●【ステップ3】再就職先が決まったら、就職日の前日にハローワークに連絡し「就職の申告」を行う(これを忘れると受給できなくなる場合がある)
- ●【ステップ4】新しい就職先に入社後、総務・人事担当者に「採用証明書の発行」を依頼する
- ●【ステップ5】就職日から1ヶ月以内に「再就職手当支給申請書」と「採用証明書」をハローワークに提出する
- ●【ステップ6】ハローワークで審査(約1ヶ月)後、指定した口座に再就職手当が振り込まれる
申請に必要な書類一覧
- ●再就職手当支給申請書(ハローワークの窓口でもらうか、ハローワークインターネットサービスからダウンロード可能)
- ●採用証明書(就職先の会社が発行するもの・様式はハローワークの公式サイトからダウンロード可能)
- ●雇用保険受給資格者証(失業給付の手続き時にハローワークから交付されたもの)
- ●本人確認書類(マイナンバーカード等)
- ●通帳またはキャッシュカード(振込先の口座情報)
申請時に注意するポイント
再就職手当の申請期限は「就職日から1ヶ月以内」です。忘れると受給資格が失効するので注意しましょう。転職先への入社準備で忙しい時期ですが、この手続きを後回しにして締め切りを過ぎてしまうケースが多いです。カレンダーに「就職日+30日以内に再就職手当申請」と記録しておきましょう。
「採用証明書」は新しい勤務先の会社が発行する書類です。入社後すぐに総務・人事部門に「再就職手当の申請に必要なので採用証明書を発行してほしい」と依頼しましょう。採用証明書の発行を断る会社はほぼありませんが、知らずに聞けない方も多いため積極的に依頼してください。様式はハローワークの公式サイトからダウンロードして持参すると対応がスムーズです。
また「就職日前日にハローワークへの連絡(就職の申告)」を忘れないようにしましょう。この連絡なしに就職すると「認定日に就職の事実を隠した」とみなされ、再就職手当の受給ができなくなる場合があります。就職が決まった時点でハローワークに連絡する習慣をつけましょう。
あわせて読みたい:ハタラクティブ
ハタラクティブを無料で確認する在職中の転職活動では再就職手当はもらえないのか
在職中に転職活動をして内定を得た場合、失業給付を受給していないため再就職手当は受け取れません。再就職手当は「失業給付の受給資格者」が条件であり、退職後に失業給付の手続きをしていることが前提です。
ただし在職中の転職活動には「退職後の生活費不安なく転職できる・ブランク期間なくキャリアが続く・企業側からも現職者の方が評価されやすい」という大きなメリットがあります。失業給付・再就職手当は「退職後の転職活動」に伴うリスクをカバーするための制度であり、在職中の転職が「損」というわけではありません。
「再就職手当のために退職してから転職活動を始めるべきか」という判断は、転職活動の見通し(どれくらいで決まりそうか)・生活費の余裕・失業給付の受給資格・現職のストレス状況などを総合的に判断して決める必要があります。
再就職手当以外の就業促進手当の種類
雇用保険には再就職手当以外にも、求職者の状況に応じた給付金があります。自分の状況に合った手当を確認しておきましょう。
- ✓就業促進定着手当:再就職手当を受給した後、再就職先での賃金が前職より低い場合に、賃金の差額を一定期間(最大6ヶ月)補填する追加の給付金
- ✓就業手当:再就職手当の対象とならない短期アルバイト・パート等として就業した場合に、就業日数に応じて支給される手当(基本手当日額の30%×就業日数)
- ✓常用就職支度手当:障害者・就職困難者が常用雇用として就職した場合に支給される手当(再就職手当の代わりの位置づけ)
- ✓移転費:ハローワークの紹介による就職のために引越しが必要な場合の引越し費用の一部給付
失業給付・再就職手当の受給で転職エージェントを活用する
退職後の転職活動では「失業給付・再就職手当・節税・社会保険の切り替え」など、お金に関する知識が重要です。転職エージェントのキャリアアドバイザーは転職活動の総合的なサポートを提供しており、「いつ退職するのが有利か」「退職後の転職活動スケジュール」に関するアドバイスもしてくれます。
特に「失業給付の受給期間中に効率よく転職活動を進めたい」という場合、転職エージェントを使うことで「求人の紹介・書類添削・面接対策・内定交渉」を全て無料でサポートしてもらえるため、短期間での再就職を実現しやすくなります。リクルートエージェント・doda・マイナビエージェントは再就職活動のサポートが充実しています。
ただし税務・社会保険に関する詳細な相談はハローワーク・社会保険労務士・税理士への相談が適切です。転職エージェントは転職活動のサポート専門であり、法的なアドバイスは専門家に依頼しましょう。