妊活中・妊娠中の転職の全体像
まずは、どのタイミングで転職を考えるかによって、選択肢や注意点が変わることを整理しましょう。自分がどの段階にいるかで、最適な進め方が異なります。
妊活中の転職——選択肢が最も広い
妊娠前の妊活中は、転職の選択肢が最も広いタイミングです。体調面の制約が少なく、面接や入社もスムーズに進めやすいためです。将来の妊娠・出産を見据えて、両立支援の整った職場にあらかじめ移っておくという戦略も取れます。ただし、入社後すぐに妊娠した場合の産休・育休の要件は意識しておく必要があります。
妊娠中の転職——難しさもあるが不可能ではない
妊娠中の転職は、体調の変化や、入社後まもなく産休に入ることへの配慮など、一定の難しさがあります。しかし、妊娠を理由に採用で不利に扱うことは法律で禁止されており、妊娠中でも転職は可能です。体調やスケジュール、給付金の要件を踏まえて慎重に計画すれば、選択肢として十分検討できます。
産後・育休明けの転職という選択も
出産後や育休明けに転職を考える人もいます。子育てと両立しやすい働き方を求めて、生活が落ち着いてから動くパターンです。この場合は、時短勤務や在宅勤務などの制度が整った職場を選ぶことが重要になります。自分と家族のライフステージに合わせて、無理のないタイミングを選びましょう。
産休・育休・給付金の要件を理解する
転職と妊娠・出産で最も重要なのが、産休・育休や給付金の要件です。転職のタイミングによって受給できるかが変わることがあるため、正確に理解しておきましょう。
産前産後休業と出産手当金
産前産後休業(産休)は、雇用形態や勤続年数にかかわらず取得できる制度です。一方、休業中の生活を支える『出産手当金』は、勤務先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)の被保険者であることが受給の前提になります。転職直後で健康保険の加入状況が変わる場合は、受給の可否や条件を確認しておく必要があります。
育児休業と育児休業給付金
育児休業(育休)は、一定の要件を満たす労働者が取得できます。休業中の収入を支える『育児休業給付金』は雇用保険から支給され、受給には、原則として休業開始前の一定期間に、雇用保険の被保険者として働いた月数などの要件を満たす必要があります。転職して間もないと、この加入期間の要件を満たせないことがあるため、注意が必要です。
入社直後の育休は労使協定で対象外になる場合も
育児休業そのものについても、労使協定によって『入社1年未満の労働者』を対象外とできる場合があります。つまり、転職して1年経たないうちに育休を取ろうとすると、会社によっては取得できないことがあります。給付金の要件とあわせて、転職先の制度や労使協定の内容を、入社前・入社時に確認しておくことが大切です。制度は改正されることもあるため、最新の情報を確認しましょう。
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妊活中に転職する場合のポイント
妊活中の転職は、将来を見据えて働きやすい環境を整える良いタイミングです。ポイントを押さえて進めましょう。
両立支援の整った職場を選ぶ
妊活中に転職するなら、産休・育休の取得実績や、時短勤務・在宅勤務などの両立支援制度が整った職場を選ぶことが大切です。制度が『ある』だけでなく、実際に『使われている』かを確認しましょう。育休取得率や復職率、両立支援に関する認定(子育てサポート企業の認定など)を取得しているかも判断材料になります。
入社後すぐの妊娠に備えて要件を確認する
妊活中の転職では、入社後まもなく妊娠する可能性があります。その際に産休・育休や給付金の要件を満たせるかを、あらかじめ確認しておくと安心です。特に育児休業給付金は雇用保険の加入期間が関係するため、前職からの期間の通算がどうなるかなど、不明な点はハローワークに確認しておくとよいでしょう。
妊活のことを職場に伝えるかは自分次第
妊活中であることを面接や職場で伝える義務はありません。伝えるかどうかは、あなた自身が決めてよいことです。伝えることで理解を得られる場合もあれば、伝えないほうが選考に集中できる場合もあります。無理に打ち明ける必要はなく、自分が働きやすいと感じる範囲で判断しましょう。
妊娠中に転職する場合の注意点
妊娠中の転職には、体調面と制度面の両方で配慮すべき点があります。無理のない計画を立てましょう。
体調を最優先に、無理のないスケジュールで
妊娠中は体調が変化しやすく、つわりや通院なども重なります。転職活動のスケジュールは、体調を最優先に、余裕を持って組みましょう。オンライン面接に対応している企業を選ぶと、移動の負担を減らせます。何よりも、自分と赤ちゃんの健康を第一に考え、無理をしないことが大切です。
産休・育休の受給要件を慎重に確認する
妊娠中に転職すると、入社してから出産までの期間が短くなり、育児休業給付金の加入期間の要件などを満たしにくくなることがあります。転職のメリットと、給付金を受けられるかどうかを天秤にかけて判断しましょう。場合によっては、現職で産休・育休を取得してから転職を考えるほうが、経済的に有利なこともあります。
妊娠の事実と誠実さのバランス
妊娠していることを面接で必ず伝える法的義務はありません。ただし、入社後すぐに産休に入ることが分かっている場合、まったく伝えないまま入社すると、入社後の信頼関係に影響することもあります。伝えるかどうか、伝えるならどう伝えるかは、次章も参考に、自分の状況に合わせて判断しましょう。
面接で妊娠を伝えるべきか
妊娠を面接で伝えるかどうかは、多くの人が悩むポイントです。法的な位置づけと、実務的な判断の両面から整理しましょう。
伝える法的義務はない
妊娠しているかどうかは、極めてプライベートな事柄です。面接で妊娠の有無を尋ねること自体が、本来は適切でないとされています。したがって、妊娠を面接で伝えなければならない法的義務はありません。妊娠を理由に採用で不利に扱うことは法律で禁止されているため、あなたが不利益を恐れて隠すことを、過度に責められるものでもありません。
伝える場合の考え方
一方で、入社後すぐに産休に入ることが確実な場合は、早い段階で誠実に伝えることで、企業側も受け入れ準備ができ、結果的に良い関係でスタートできることもあります。伝える場合は、『出産後も長く貢献したい』という意欲とセットで伝えると、前向きに受け止められやすくなります。伝える・伝えないに正解はなく、自分が納得できる選択をすることが大切です。
エージェントに相談して方針を決める
伝え方に迷う場合は、転職エージェントに相談するのも有効です。担当者は多くの事例を知っており、企業の受け止め方や、どのタイミングでどう伝えるとよいかについて、客観的なアドバイスをくれます。また、妊娠中でも受け入れに理解のある企業を紹介してもらえることもあります。一人で抱え込まず、専門家の力も借りましょう。
マタハラ・不利益取扱いから身を守る
妊娠・出産に関する不当な扱いは、法律で禁止されています。万一のときに備えて、自分を守る知識を持っておきましょう。
妊娠・出産を理由とする不利益取扱いは禁止
法律では、妊娠・出産・産休・育休などを理由として、解雇・降格・減給・不利益な配置転換などを行うことが禁止されています。また、採用選考で妊娠を理由に不利に扱うことも認められません。これらは『マタニティハラスメント(マタハラ)』として問題視される行為です。自分にこうした権利があることを知っておくだけでも、いざというときの支えになります。
困ったときの相談先
妊娠・出産に関して不当な扱いを受けた場合は、一人で抱え込まず、外部の窓口に相談しましょう。各都道府県の労働局(雇用環境・均等部門)や、総合労働相談コーナーなどが相談を受け付けています。記録を残しておくことも、相談の際に役立ちます。正当な権利を守るために、公的な相談窓口を活用してください。
記録を残しておく
不当な扱いを受けたと感じたら、いつ・誰から・どのようなことを言われた(された)かを、日付とともに記録しておきましょう。メールやメッセージのやり取りも保存しておくと、後から状況を客観的に説明する際の材料になります。冷静に事実を記録しておくことが、自分を守る備えになります。
両立できる職場の見極めとエージェント活用
最後に、妊娠・出産・育児と両立しやすい職場を見極めるコツと、転職活動をサポートしてもらう方法をまとめます。
- ✓産休・育休の取得実績・復職率が高いか
- ✓時短勤務・在宅勤務・フレックスなど柔軟な制度があり、実際に使われているか
- ✓子育てサポート企業の認定などを取得しているか
- ✓同じように子育てをしている社員が活躍しているか
- ✓上司や周囲に両立への理解があるか
制度が『使われているか』を確認する
両立支援は、制度が『ある』だけでは不十分で、実際に『使われているか』が肝心です。育休取得率や復職率、時短勤務者の割合などの実績を確認しましょう。面接やカジュアル面談の場で、実際に子育てをしながら働いている社員の様子を聞くのも有効です。制度と実態の両方を確認することで、入社後のミスマッチを防げます。
エージェントに希望を伝えて効率化する
妊活・妊娠・子育てと両立したいという希望は、転職エージェントに率直に伝えましょう。担当者は、両立支援に理解のある企業や、実績のある職場を知っており、条件に合う求人を紹介してくれます。また、面接での伝え方や、産休・育休の要件についての相談にも乗ってくれます。ライフイベントとキャリアを両立させるために、プロのサポートを上手に活用しましょう。