リスキリング支援制度の全体像:どんな制度があるか
リスキリング(学び直し)を支援する制度は、国・自治体・雇用主の3つの層から提供されています。それぞれの制度の特徴と対象者を理解することが、賢い活用の第一歩です。
主要な支援制度の一覧
以下の制度が主要なリスキリング支援として利用可能です。
- ●①教育訓練給付金(厚生労働省):雇用保険加入者向け・受講費の20〜70%支給
- ●②公共職業訓練(ハローワーク):離職者向け・無料で職業訓練が受けられる
- ●③求職者支援制度:雇用保険なし・収入要件ありの方向け・無料訓練+生活給付
- ●④産業雇用安定助成金:在籍型出向・リスキリングへの企業支援
- ●⑤都道府県・市区町村独自の補助金:地域によって様々な上乗せ制度あり
- ●⑥民間企業のリスキリング支援(社内研修・資格取得支援):転職後も活用可能
- ●⑦補助金上乗せプログラム:経産省「未来人材育成奨学金」等
教育訓練給付金:最も使える制度の完全解説
教育訓練給付金は、転職希望者が最も活用すべき制度です。要件を満たせば講座費用の20〜70%(最大168万円)が支給されます。在職中・離職後どちらでも利用可能です。
教育訓練給付金の3種類と給付額
教育訓練給付金には受講する講座のレベルによって3種類があり、給付率・上限額が異なります。
- ●①一般教育訓練給付金:費用の20%(上限10万円)。TOEIC・簿記・ITパスポート等
- ●②特定一般教育訓練給付金:費用の40%(上限20万円)。介護・看護・ITスキル系
- ●③専門実践教育訓練給付金:費用の50〜70%(年間最大56万円)。高度な資格・長期講座
- ●専門実践は資格取得後に就職・転職した場合にさらに20%が追加支給される
- ●注意:事前にハローワークでの申請手続きが必要。講座開始前に手続き必須
対象者の要件(雇用保険加入者)
教育訓練給付金を受給するための主な要件を確認しましょう。
- ●在職中の場合:雇用保険の被保険者期間が通算1年以上(初回は1年で可)
- ●離職後の場合:離職後1年以内(受給資格の延長制度あり)
- ●過去に給付金を受給した場合は、受給から3年後から再利用可能
- ●厚生労働大臣が指定する「指定教育訓練講座」が対象
- ●対象講座かどうかは厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で確認可能
給付金対象の主な講座・スクール例
2026年時点で教育訓練給付金の対象となる主な講座・スクールのカテゴリを紹介します。
- ●プログラミングスクール:TECH CAMP・テックアカデミー・DMM WEBCAMP等の一部コース
- ●語学:英会話・ TOEIC対策コース(一部スクール)
- ●IT資格対策:AWS・情報処理技術者・PMP等の対策講座
- ●ビジネス資格:MBA・中小企業診断士・社会保険労務士等
- ●専門職資格:看護師・薬剤師・理学療法士・保育士等の養成校・専門学校
- ●対象かどうかは各スクールのウェブサイトまたはハローワークで確認
申請手順(在職中の場合)
在職中に教育訓練給付金を申請する手順を解説します。
- ●①受講したい講座を「教育訓練給付制度 検索システム」で確認
- ●②受講開始1か月前までにハローワークに「教育訓練給付金の受給資格の確認」
- ●③ハローワークで受給資格証を発行してもらう
- ●④講座のスクールに受給資格証を提出・割引適用で申し込み
- ●⑤受講完了後にハローワークに支給申請書類を提出(期限内)
- ●⑥2〜3か月後に指定口座に給付金が振り込まれる
どのエージェントを選ぶべきか迷っていますか?
年代・職種・年収・希望条件を選ぶだけで、あなたに最適なエージェントTop3をご提案します。
公共職業訓練・求職者支援制度(無料で学べる制度)
離職中の方は、ハローワークを通じた無料の職業訓練を利用できます。これは「完全無料」でプログラミング・デザイン・簿記・介護等のスキルを学べる非常に有利な制度です。
公共職業訓練(ハロートレーニング)の基本
ハローワーク経由で受講できる公共職業訓練は、雇用保険受給者向けの無料訓練です。
- ●費用:無料(テキスト代等の実費のみ発生する場合あり)
- ●期間:3か月〜2年(職種・訓練内容による)
- ●対象:雇用保険の失業給付受給者(求職中の方)
- ●訓練中は失業給付が継続して受給できる(延長給付あり)
- ●主なコース:IT・プログラミング・デザイン・介護・医療事務・簿記・ビジネス英語等
求職者支援制度(雇用保険なしでも使える)
雇用保険に加入していなかった方(フリーランス・パート・短期雇用等)でも利用できる訓練給付制度です。
- ●費用:テキスト代以外は無料
- ●対象:雇用保険を受給できない求職者
- ●収入・資産要件:月収8万円以下・世帯収入月25万円以下等
- ●訓練受講中に月10万円の「職業訓練受講給付金」が支給される場合がある
- ●申請はハローワークで行う
在職中・転職希望者が使えるリスキリング給付(2024年新制度)
2024年以降、在職中のリスキリングへの給付金が大幅に拡充されました。退職しなくても学び直しの費用を支援してもらえる時代になっています。
在職中リスキリング給付の概要
2024年の改正により、在職しながらでも教育訓練給付金を利用しやすくなりました。また新たな給付プログラムも創設されています。
- ●在職者も教育訓練給付金の全種類が利用可能(勤続1年以上)
- ●「特定求職者雇用開発助成金」:採用企業が補助を受けることで採用コストを削減
- ●「キャリア形成・リスキリング推進事業」:経産省が新設した個人向け支援
- ●「補助金上乗せ自治体」:東京都・大阪府・愛知県等は独自の上乗せ補助あり
- ●会社の資格取得支援制度と教育訓練給付金の併用も可能(二重受給は不可)
無料・格安で学べるオンラインリソース
補助金を使わなくても、質の高い学習コンテンツが無料または格安で利用できます。
- ●Coursera・edX(海外大学のオンライン講座):一部コースは無料受講可能
- ●Udemy:セール時に99〜2000円で高品質なITコースが受講できる
- ●Google・AWS・Microsoft の無料トレーニング:公式認定資格の準備に最適
- ●AI・機械学習:Google Colab・Kaggle・fast.aiは完全無料
- ●プログラミング学習:Progate・Paiza(基礎レベルまで無料)
- ●ビジネス知識:YouTube・Podcast・LinkedIn Learning(一部無料)
リスキリング補助金を賢く使う5つのステップ
制度を最大限に活用するために、正しいステップで申請することが重要です。手続きのミスで給付金が受け取れなかったというケースを防ぐためにも、事前確認を徹底しましょう。
ステップ1:目標を明確にして制度を選ぶ
「どのスキルを・いつまでに・何のために習得するか」を明確にすることが、制度選択の出発点です。
- ●転職目標(職種・業界)から逆算して必要なスキルを特定する
- ●転職タイムライン(いつまでに転職したいか)を設定する
- ●必要なスキル習得にかかる時間・費用の概算を調べる
- ●自分が利用できる制度の要件(雇用保険加入期間等)を確認する
- ●ハローワーク・厚生労働省のウェブサイトで最新情報を確認
ステップ2:ハローワークに相談する
どの制度を使えばよいか迷ったときは、最寄りのハローワークに相談することをお勧めします。無料で専門のアドバイスが受けられます。
- ●ハローワークの「教育訓練給付制度」窓口に事前予約なしで相談可能
- ●「どの制度が使えますか?」と聞けばあなたの状況に合った制度を案内してもらえる
- ●給付対象の講座リストも確認できる
- ●受給資格証の発行もハローワークで行う(講座開始前に必要)
- ●キャリアコンサルタントに相談して最適なリスキリング計画を立てることも可能