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船員・海技士・航海士への転職完全ガイド|資格・年収・仕事内容・未経験からの道

公開:2026-05-23更新:2026-05-23監修:転職エージェントLab 編集部

広大な海の上で働く船員・航海士・機関士は、日本の輸出入物流を支える縁の下の力持ちです。日本は四方を海に囲まれた海洋国家であり、輸出入貨物の99%以上が海上輸送で運ばれています。船員という職業は少子高齢化・担い手不足が深刻で、政府も船員確保に向けた施策を積極展開しています。

「海が好き」「スケールの大きな仕事がしたい」「高収入を得たい」という思いをお持ちの方に、船員・海技士への転職は選択肢の一つです。本記事では海技士免許の取得方法から年収の実態・求人の探し方まで、転職に必要な情報を体系的に解説します。

目次

  1. 1. 船員の種類と仕事内容
    1. 1-1. 航海士(デッキ部門)の仕事内容
    2. 1-2. 機関士(エンジン部門)の仕事内容
    3. 1-3. 外航船と内航船の違い
  2. 2. 海技士免許の種類と取得方法
    1. 2-1. 主な海技士免状の種類
    2. 2-2. 社会人が海技士免許を取得するルート
    3. 2-3. STCW条約に基づく必須訓練
  3. 3. 船員・海技士の年収
    1. 3-1. 職種・船種別の年収目安
    2. 3-2. 船員給与の特徴
  4. 4. 船員業界の現状と転職市場
    1. 4-1. 船員不足の実態
    2. 4-2. 船員転職の求人情報源
  5. 5. 船員のライフスタイルと転職前の確認事項
    1. 5-1. 乗船生活のリアル
    2. 5-2. 転職前に確認すべきポイント
  6. 6. 船員・海技士のキャリアアップと将来を見据えた長期設計
    1. 6-1. 上位海技士免状取得と船長・機関長への昇格
    2. 6-2. 陸上職への転換と海事関連キャリアの広がり
  7. 7. よくある質問

船員の種類と仕事内容

船員にはさまざまな職種があり、担当する業務・必要な資格が異なります。自分がどの職種を目指すかを明確にすることが転職準備の第一歩です。

航海士(デッキ部門)の仕事内容

航海士は船の操船・航路管理・積荷管理・安全管理を担当する船のナビゲーターです。

  • 航路の設定・海図の確認・気象情報収集・航海計画立案
  • ブリッジ(操船室)での当直・船位確認・航海計器の管理
  • 入出港時の操船補助・タグボートとの連携・係留作業の監督
  • 積荷の積み降ろし管理・重量配分計算・固縛作業の指揮
  • 船員の乗組員管理・訓練計画・安全教育の実施
  • 船体・甲板設備の保全・整備・塗装作業の指揮
  • SOLAS(海上人命安全条約)に基づく安全・防災訓練の実施

機関士(エンジン部門)の仕事内容

機関士は船のエンジン・推進装置・電気系統・補助機械を管理・整備する技術者です。

  • 主機関(ディーゼルエンジン)・補助機関の運転管理・監視
  • 定期整備(オーバーホール)・故障診断・修理・部品交換
  • 発電機・電気設備・制御盤の管理・保全
  • 燃料・潤滑油・清水・バラスト水の管理
  • 排気ガス規制・燃費改善・環境対応技術の実装
  • 機関室当直・異常時の緊急対応・安全確保
  • 機関設備の整備記録・報告書作成

外航船と内航船の違い

船員の転職では外航船(国際航路)と内航船(国内航路)のどちらを選ぶかも重要な選択です。

  • 外航船:国際航路(世界各港へ)・長期乗船(3〜10ヶ月)・休暇(2〜3ヶ月)・高収入(年収600〜1,000万円以上)
  • 内航船:日本近海・沿岸航路・短サイクル(2〜3週間乗船・数日休暇)・年収400〜700万円
  • 外航船の魅力:世界各国の港に寄港・高収入・非課税メリット(一定条件下)
  • 内航船の魅力:家族と会う頻度が多い・日本語環境・陸上生活との両立しやすい
  • フェリー:国内定期航路・ほぼ毎日陸上に戻れる・年収350〜550万円

海技士免許の種類と取得方法

船員として乗務するためには「海技士免状(国家資格)」が必要です。航海・機関・通信・電子通信の4系統があり、それぞれ1〜6級(または1〜4級)の等級があります。

主な海技士免状の種類

取得する免状の種類によって、乗船できる船舶のサイズ・役職が決まります。

  • 一級海技士(航海):最上位資格、大型外航船の船長・一等航海士に必要
  • 二級海技士(航海):一等航海士(外航)・船長(内航大型)
  • 三級海技士(航海):二等航海士(外航)・内航中型船の船長
  • 四級〜六級海技士(航海):内航小型船・沿岸船
  • 機関系:一〜六級海技士(機関)で機関長・一等機関士・機関士を区分
  • 小型船舶操縦士(1級・2級):プレジャーボート・小型業務船
  • 海上特殊無線技士:船舶の通信設備操作に必要

社会人が海技士免許を取得するルート

社会人が海技士免許を取得するルートはいくつかあります。時間・コスト・目標レベルを考慮して選択しましょう。

  • 海技大学校(国立・神戸):短期養成コース(社会人対象・約6ヶ月)で四級海技士取得可能
  • 海上技術学校・海上技術短期大学校:中高卒対象の3〜5年コースが主だが中途編入制度もある
  • 船員派遣・労働者派遣:見習い乗組員として乗船しながら免許取得を支援
  • 小型船舶操縦士から段階的に:まず2級小型船舶から取得し海上勤務の経験を積む
  • 民間訓練機関:レーダー観測士・STCW基本訓練など個別資格から積み上げる
  • 水産高校・海洋系専門学校:社会人入学制度(夜間・通信)を活用する

STCW条約に基づく必須訓練

国際航路に就航する場合は、STCW(船員の訓練・資格証明・当直の基準に関する国際条約)に基づく訓練修了が必要です。

  • 基本安全訓練:個人の生存技術・消火・救急・個人安全と社会的責任
  • 上級消火訓練:防火・消火の高度な対処能力
  • 上級救命措置訓練:救命艇・救助艇の操縦と管理
  • 医療救急処置訓練:船上での医療対応
  • 保安訓練:船舶保安(テロ対策・不法侵入防止)に関する訓練
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船員・海技士の年収

船員の年収は職種・乗船する船の種類・等級によって大きく異なります。外航船員は高収入で知られていますが、長期乗船のライフスタイルを伴います。

職種・船種別の年収目安

以下は代表的な職種・船種の年収目安です。個人の等級・経験・勤務先によって大きく異なります。

  • 外航船・船長(大型タンカー・コンテナ船):年収1,200〜2,000万円以上
  • 外航船・一等航海士:年収800〜1,400万円
  • 外航船・二等・三等航海士:年収500〜900万円
  • 外航船・機関長:年収1,000〜1,800万円
  • 内航船・船長:年収600〜900万円
  • 内航船・航海士・機関士:年収400〜700万円
  • フェリー・旅客船:年収350〜600万円
  • 海洋調査船・作業船:年収450〜700万円

船員給与の特徴

船員の給与体系は陸上の会社員とは異なる特徴があります。

  • 乗船手当・航海手当が基本給に加算される(職種・航路によって異なる)
  • 外航船員は所得税の特別控除(外航船員特例)が適用される場合がある
  • 食費・居住費(船内)は会社負担のため、実質的な手取りは高い
  • 休暇中も基本給が支払われる会社が多い(乗船・休暇サイクル制)
  • 退職金制度:雇用年数・等級に応じた退職一時金または企業年金

船員業界の現状と転職市場

日本の船員業界は深刻な人材不足に直面しており、転職市場においては求職者にとって有利な状況が続いています。

船員不足の実態

国土交通省のデータによると、日本の内航海運業では慢性的な船員不足が続いています。

  • 内航船員の平均年齢は50代に達しており、高齢化が深刻
  • 新規養成数が退職者数に追いつかず、業界全体で担い手不足が加速
  • 2030年代には船員需給ギャップがさらに拡大すると予測
  • 国交省は「船員確保・育成プログラム」を策定し、人材確保を支援
  • 外国人船員の活用(フィリピン・インドネシア等)を進める会社も増加

船員転職の求人情報源

船員の求人は一般的な転職サイトより業界特化型の情報源が充実しています。

  • 公益財団法人 日本船員雇用促進センター(SECOJ):船員転職を専門に支援
  • 一般財団法人 日本海事協会:船員向けの就職・転職情報
  • 各海運会社の公式採用ページ:日本郵船・商船三井・川崎汽船など大手
  • 内航船会社(タンカー・砂利船・フェリー等)の採用ページ
  • マリンキャリア・海事新聞社:海事業界特化型の求人メディア
  • ハローワーク:内航船を中心とした船員求人が掲載されることがある

船員のライフスタイルと転職前の確認事項

船員への転職は単なる職種変更ではなく、ライフスタイルの大きな変化を伴います。転職前に家族と十分に話し合い、現実的なイメージを持って判断しましょう。

乗船生活のリアル

船員の生活は陸上とは全く異なります。メリット・デメリットを把握した上で判断しましょう。

  • 外航船は3〜10ヶ月の乗船後に2〜3ヶ月の連続休暇(まとまった休みが取れる)
  • 船内生活:個室(通常個室あり)・食堂・共用娯楽室・ジム(大型船)
  • インターネット:衛星通信でメール・通話が可能だが速度・コストに制限あり
  • 船酔い:最初の1〜2週間は辛い場合があるが多くは慣れる
  • 孤独感・閉塞感:広い海の上での閉鎖空間での生活に適応が必要
  • 家族との時間:乗船中は家族と会えない(外航の場合は年の半分以上)

転職前に確認すべきポイント

転職を決める前に、以下の点を会社・担当者に確認しておきましょう。

  • 乗船スケジュール:乗船期間・休暇期間のサイクルと実績
  • 研修制度:免許取得支援・未経験者向けの乗船研修プログラム
  • 昇格の仕組み:免許等級向上・役職昇格の実態とスピード
  • 配船の安定性:景気変動・航路廃止による乗船機会の変化
  • 緊急帰国制度:家族の緊急事態(病気・事故)の際の帰国サポート
  • 労働組合・支援体制:全日本海員組合(JSU)への加入有無

船員・海技士のキャリアアップと将来を見据えた長期設計

船員として乗船経験を積んだ後は、上位の海技士免状取得による昇格・船長・機関長への道のり・陸上職への転換・海事関連の専門資格取得など、多彩なキャリアの広がりが待っています。海運業界は深刻な人材不足が続いており、経験のある船員は陸上の海事関連職でも高い評価を受けます。長期的なキャリアを描くことで、海上生活のライフスタイルと将来の変化に備えた柔軟な計画を立てることができます。内航・外航の区別を超えて、海事全般の知識と実績を積み上げることが長期的な市場価値の向上につながります。

上位海技士免状取得と船長・機関長への昇格

海技士としてのキャリアアップの最大の道筋は、上位の海技士免状を取得して船長・機関長といった最高職位に就くことです。免状の取得には乗船経験の累積と筆記・口述試験の合格が必要ですが、着実な努力で実現可能な目標です。

  • 乗船経験を積みながら上位海技士免状(一級・二級)の取得を目標に計画的な学習と試験対策を進める
  • 三等→二等→一等→船長(航海)または三等→二等→一等→機関長(機関)の昇格ルートを明確に描く
  • 外航大型船(タンカー・コンテナ船・LNG船)への乗船経験を積み、高収入・高技術の職位を目指す
  • 動的位置保持システム(DPS)・LNG燃料船・自律船など最新技術に対応した資格・研修を積極的に取得する
  • 英語力の継続的な向上:外航船での業務・STCW研修・国際的な船舶管理には英語コミュニケーション能力が不可欠
  • セーフティマネジメント(SMS)・ISMコードの深い理解と実践で船長・上級職に求められる管理能力を身につける
  • 船内での後輩・部下の指導・教育に積極的に関与し、リーダーシップとマネジメント能力を実践の中で磨く

陸上職への転換と海事関連キャリアの広がり

船員として長年積み上げた航海・機関・貨物管理の専門知識は、陸上の海運・港湾・物流・保険・教育など幅広い分野で高く評価されます。体力的な限界や家族との生活を重視する段階になった際も、海での経験を活かしたキャリア転換が可能です。計画的に陸上職への転換を視野に入れることで、長期的に安定したキャリアライフを実現できます。

  • 海運会社の運航管理者:船舶の運航計画・安全管理・船員配乗を陸上から管理する責任職で経験者が高く評価される
  • 港湾・船舶代理店:入出港手続き・貨物管理・荷役監督など現場経験が直結する陸上業務に転換する
  • 海事代理士(国家資格)の取得:船舶登録・検査・船員手帳手続きを専門とする法律隣接職でフリーランス活動も可能
  • 船舶検査機関(ClassNK等)や損害保険会社のサーベイヤー:船舶の安全審査・損害鑑定の専門家として活躍する
  • 海事系学校・水産高校・海上技術学校の教員・訓練士:現場経験を次世代の船員育成に活かす教育職への転換
  • マリンコンサルタント・海事ライター:専門知識を活かして海運業界のコンサルティング・情報発信の分野で独立する
  • 船舶管理会社(ShipManagement)への転職:船員の配乗・安全管理・コスト管理を陸上からサポートする専門職として活躍する

よくある質問

Q

全くの未経験・陸上勤務経験しかない人でも船員になれますか?

A

なれます。国立の海技大学校・海上技術学校の短期養成課程や、船員派遣会社の見習い乗組員として採用されるルートがあります。内航船会社の中には、全くの未経験者を採用して免許取得から支援するプログラムを持つ会社もあります。SECOJの相談窓口を利用すると具体的なルートを案内してもらえます。

Q

船員になるための年齢制限はありますか?

A

法的な年齢上限はありませんが、海技士免許取得のための訓練・学校によっては年齢条件がある場合があります。内航船会社では40代の転職者を受け入れるケースもあります。ただし、海上での体力・健康要件があり、定期的な健康診断(船員手帳更新)で適性が確認されます。

Q

船員は結婚・家族がいても続けられますか?

A

内航船・フェリー(短サイクル乗船)なら家族と頻繁に会えるため、家庭と両立しやすいです。外航船は長期乗船が基本ですが、まとまった休暇(2〜3ヶ月)を家族と過ごせます。実際に家族を持ちながら外航船員を続けている方も多く、工夫次第で両立は可能です。転職前に家族の理解を得ておくことが重要です。

Q

船員をやめて陸上の仕事に転職することはできますか?

A

できます。船員出身者は海運・港湾・物流業界の陸上職(運航管理・港湾管理・海事代理士・船舶検査機関・保険)に転職するケースが多いです。船舶の知識・STCW資格・機関整備経験は陸上でも評価されます。また、大手海運会社では陸上職への転換制度を持つ場合もあります。

Q

船員の健康管理で特に注意すべき点は?

A

船員は定期的な健康診断(船員法による船員手帳更新時)が義務付けられています。視力・聴力・心臓・精神的健康が特に審査されます。高血圧・糖尿病・てんかんなどの持病があると乗船に制限が出る場合があります。転職前に近くの船員の健康を管理する機関(地方運輸局・港湾局等)に相談することをお勧めします。

この記事を書いた人

転職・キャリア専門メディア 編集部

転職エージェントLab 編集部

転職エージェントLab編集部は、人材業界出身の運営者が中心となり、実際の業界経験をもとに転職エージェントの情報を調査・発信しています。読者が自分に合ったエージェントを選べるよう、各サービスの特徴・求人実績を中立な視点でまとめています。

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