ESG・サステナビリティ担当の求人が急増している理由
なぜ今これほどESG・サステナビリティ担当の需要が高まっているのでしょうか。背景を理解することで、自分のスキルがどう活きるかも見えてきます。
①サステナビリティ情報開示の義務化
2024年以降、東京証券取引所プライム市場上場企業にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示が求められています。さらにISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の基準に基づく開示も段階的に義務化が進んでいます。
これにより、気候変動リスクの定量評価・サプライチェーンのスコープ3排出量算定・サステナビリティ報告書の作成ができる専門家が急激に求められるようになっています。
②ESG投資の拡大
機関投資家のESG投資への比重が増加しており、ESGスコアが低い企業は資金調達コストが高まるリスクがあります。企業がESGスコア向上のために専門担当者を配置する動きが加速しています。
③カーボンニュートラル宣言への対応
多くの大手企業が2050年カーボンニュートラルを宣言しており、その実現に向けたロードマップ策定・実行支援を担う人材が必要とされています。
ESG・サステナビリティ担当に必要なスキルと資格
ESG・サステナビリティ職への転職では、専門的な知識と実務経験の組み合わせが重要です。
求められる専門知識
GHG(温室効果ガス)排出量の算定・報告に関する知識(GHGプロトコル・スコープ1/2/3の理解)、TCFDフレームワークへの対応、CSR/ESGレポーティングの実務、SBT(Science Based Targets)の設定方法、ESG格付け機関(MSCI・Sustainalytics等)の評価基準理解が基本的な専門知識です。
有利な資格・認定
絶対必須の資格はありませんが、以下の資格・認定が転職市場で評価されます。
- ●CFA(特にESG投資に関連するレポートの読み方に有利)
- ●GRI認定サステナビリティプロフェッショナル
- ●CDP認定トレーニング(気候変動情報開示)
- ●ISO 14001(環境マネジメントシステム)主任審査員
- ●SDGsビジネストレーナー(国連ハビタット等認定)
- ●サステナビリティ会計基準審議会(SASB)の規格理解
スキルとしての英語力
グローバルスタンダードに対応したESG情報開示・外資系投資家との対話・国際フレームワークの理解には英語力が必要です。TOEIC 800点以上は最低限の目安で、大手外資系や投資家対応ポジションではTOEIC 900点以上またはビジネス英語の実務経験が求められます。
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ESG・サステナビリティ担当の年収相場
ESG・サステナビリティ担当の年収は、企業規模・職種レベル・経験年数によって大きく異なります。
- ✓ESG担当スタッフ(1〜3年経験):450〜650万円
- ✓ESGリーダー・シニア担当(3〜7年):650〜950万円
- ✓ESGマネージャー(部長候補):800〜1,200万円
- ✓チーフサステナビリティオフィサー(CSO):1,200〜2,000万円以上
- ✓コンサルファームのESGコンサルタント:700〜1,400万円
異業種・異職種からESG担当への転職ルート
ESG担当への転職は「完全な専門家」でなくても道が開けています。
経営企画・財務出身者
財務開示・IR(投資家向け広報)の経験者はESG情報開示の実務に近く、最も転職しやすいルートの一つです。TCFDやISSBフレームワークの学習を加えることで即戦力になりやすいです。
環境系・理系出身者
環境工学・化学・生命科学などの理系バックグラウンドを持つ方は、GHG排出量の算定・ライフサイクルアセスメント(LCA)などの技術的な部分で強みを持てます。ビジネスコミュニケーション力を加えることで差別化できます。
CSR・広報出身者
従来のCSR担当・広報担当の方がサステナビリティ開示・ESG報告書作成のスキルを加えてESG担当へシフトするケースが増えています。コンテンツ作成力・ステークホルダーコミュニケーション力は引き続き有効です。
ESG転職を成功させる転職エージェントの選び方
ESG・サステナビリティ職はまだ専門特化した転職エージェントが少なく、総合型と業界特化型を組み合わせた戦略が有効です。
- ✓JACリクルートメント:外資系企業・グローバル企業のESG・サステナビリティポジションが豊富
- ✓ビズリーチ:CSO・ESGマネージャー等のハイクラスESG求人のスカウトが届く
- ✓リクルートエージェント:国内大手企業のCSR・ESG担当求人数が多い
- ✓コンサルファーム向けエージェント:ESGコンサルタントを目指すならコンサル特化型も有効
「E」だけじゃない:社会(S)・ガバナンス(G)領域のキャリア
ESGというと環境(E)ばかりが注目されがちですが、社会(S)・ガバナンス(G)領域にも専門人材の需要が着実に広がっています。環境分野以外からのキャリアチェンジを考える方はこちらも視野に入れてください。
社会(S)領域:人権デューデリジェンス・ダイバーシティ推進
サプライチェーンにおける人権リスクの調査・評価(人権デューデリジェンス)、女性活躍推進・ダイバーシティ&インクルージョン施策の設計・実行は、社会領域の代表的な専門職です。人事・労務・法務での実務経験がある方は、この領域への転身がスムーズです。
- ●強みになりやすい経験:人事制度設計、労務コンプライアンス対応、社内研修の企画運営
- ●評価されやすいスキル:ステークホルダーとの対話力、社内外への発信力
ガバナンス(G)領域:取締役会実効性評価・内部統制強化
取締役会の実効性評価・コーポレートガバナンス報告書の作成・内部統制の強化などを担う領域です。法務・内部監査・IR部門での経験は、このガバナンス領域で直接活かせます。特に社外取締役対応・株主総会運営の実務経験は高く評価されます。
ESGデータ・テクノロジー分野という新しい選択肢
ESG情報開示の効率化を支えるテクノロジー・データ分野も、急速に拡大している転職先の一つです。
- ✓ESGデータプラットフォーム企業(Workiva・Persefoni等):ESGデータの収集・可視化ツールの開発・導入支援を担う
- ✓ESG格付け機関(MSCI・Sustainalytics・S&P Global等):企業のESGスコアを算定するアナリスト職
- ✓サステナビリティ特化型SaaSスタートアップ:国内でも急成長中で、IT・データ分析スキルを持つ人材の需要が高い
- ✓監査法人のESGテクノロジー部門:ESG情報の内部統制・システム監査を担う専門職
- ✓選び方のポイント:技術力を活かしたい人はデータ・システム寄りの企業、対話力を活かしたい人はコンサルティング・格付機関がより向いている
ESG転職の実践ステップ:応募前に準備すべきこと
ESG・サステナビリティ職への転職は、専門性をどう見せるかで書類選考の通過率が大きく変わります。ここでは実際に選考を突破するための具体的な準備手順を紹介します。
職務経歴書でアピールすべきポイント
未経験からESG領域を目指す場合、職務経歴書には「ESGに直結する実務経験」と「学習・自己投資の実績」の両方を盛り込むことが重要です。単なる異動希望ではなく、具体的な行動を示すことで本気度が伝わります。
- ●現職での関連業務(サステナビリティレポート作成補助、CSR活動への参画、環境負荷データの集計など)を具体的な数字とともに記載する
- ●GHGプロトコルやTCFD、ISSB基準について学習した内容・取得予定の資格を明記する
- ●社内外の勉強会・セミナーへの参加実績、ESG関連の資格取得計画を時系列で示す
- ●英語力(TOEICスコア等)や国際フレームワークへの理解度を数値・具体例で示す
面接で聞かれやすい質問と対策
ESG職の面接では、知識の暗記だけでなく「なぜESGに関わりたいのか」という動機の一貫性が重視されます。付け焼き刃の知識ではなく、自分のキャリアの文脈の中でESGへの関心がどう育まれてきたかを語れるように準備しておきましょう。
また、応募企業のサステナビリティ報告書や統合報告書を事前に読み込み、自社の取り組みに対する具体的な意見や改善提案を持って臨むことが高評価につながります。
- ●「なぜESGに関心を持ったか」というキャリアの一貫性を問う質問
- ●応募企業の直近のサステナビリティ報告書・統合報告書の内容に関する質問
- ●GHG排出量算定やTCFD開示の実務知識を確認する技術的な質問
- ●社内の他部門(経営企画・IR・人事等)とどう連携して仕事を進めるかという協働力を問う質問
転職エージェントを活用した情報収集のコツ
ESG・サステナビリティ職はまだ求人数が少なく非公開求人も多いため、複数の転職エージェントに登録して情報網を広げることが重要です。エージェントの担当者に「ESG関連の求人が出たら優先的に教えてほしい」と明確に伝えておくと、マッチする求人が出た際に早期に紹介してもらいやすくなります。
年代・経験レベル別のESGキャリア戦略
ESG・サステナビリティ職への転職戦略は、年代や現在の経験レベルによって取るべきアプローチが異なります。自分の状況に合った戦略を立てることが、遠回りをせずに目標のポジションへたどり着く近道です。
20代・第二新卒:まずは事業会社のスタッフ職から
20代であれば、専門性の高さよりもポテンシャルと学習意欲が評価されます。まずは事業会社のサステナビリティ推進部門やCSR部門のスタッフ職に入り、実務を通じて知識を蓄積するルートが現実的です。並行してGHGプロトコルやTCFDの基礎知識を独学で身につけておくことで、入社後のキャッチアップが速くなります。
30代:専門性を軸にしたキャリアチェンジ
30代では、これまでのキャリアで培った専門性(財務・法務・エンジニアリング・広報など)をESG領域にどう接続するかが転職成功の鍵になります。異業種からの転職でも「何をESGに持ち込めるか」を明確に語れれば、即戦力人材として評価されやすい年代です。
- ●財務・IR経験者:ESG情報開示・投資家対応のポジションを狙う
- ●法務・内部監査経験者:ガバナンス強化・コンプライアンス関連のポジションを狙う
- ●エンジニア・理系研究職:GHG算定・LCA分析などデータ分析寄りのポジションを狙う
40代以降:マネジメント経験を活かした上位ポジション
40代以降でESG領域に転職する場合は、部門横断的なプロジェクトマネジメント経験や、経営層への提言・報告の経験が強みになります。ESGマネージャーやチーフサステナビリティオフィサー(CSO)候補として、これまでのマネジメント経験と新たに習得したESG専門知識を組み合わせてアピールすることが有効です。