DEI担当職の市場動向
DEI担当職の需要が高まっている背景と市場実態を解説します。規制動向を押さえることで転職市場の全体像が見えてきます。
DEI推進を義務化・強化する規制動向
2026年時点で、以下の規制・ガイドラインがDEI推進担当の需要を後押ししています。
- ●女性活躍推進法:常時雇用101人以上の企業に行動計画策定・開示を義務化
- ●東証プライム:取締役会の多様性(女性・外国人比率)の開示義務
- ●LGBTQ+インクルージョン:PRIDE指標取得企業が急増
- ●障害者雇用促進法:法定雇用率引き上げで専門担当の必要性増加
- ●外国籍人材活躍推進:グローバル人材登用のD&I戦略が必要
DEI担当の主な職種と役割
DEI関連の職種は一つではなく、企業規模・戦略によって多様なポジションが存在します。
- ●Chief Diversity Officer(CDO):全社DEI戦略の統括責任者
- ●DEI・D&Iマネージャー:DEIプログラムの企画・運営
- ●女性活躍推進担当:管理職比率目標設定・メンタリング制度運営
- ●LGBTQ+インクルージョン担当:社内環境整備・アライ育成
- ●グローバル人材・外国籍採用担当:海外人材の採用・定着支援
- ●障害者雇用コーディネーター:合理的配慮の企画・実施
- ●アンコンシャスバイアス研修担当:研修プログラムの開発・実施
年収相場
DEI担当職の年収を企業規模・ポジション別に解説します。専門性と裁量権の大きさによって水準が大きく変わります。
企業規模・役職別年収目安
DEI担当は人事の専門職として、相応の待遇が提供されます。
- ●DEI担当(中規模企業・個人担当):500万〜700万円
- ●DEI・D&Iマネージャー(大手日系):650万〜950万円
- ●DEI・D&Iマネージャー(外資系):800万〜1,200万円
- ●Chief Diversity Officer(大手・外資):1,000万〜2,000万円
- ●DEIコンサルタント(コンサルティング会社):700万〜1,200万円
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必要なスキルとバックグラウンド
DEI担当職に求められるスキルと転換しやすい職種を解説します。自身の経験と照らし合わせて確認してみましょう。
DEI担当に求められるスキル
DEI担当は人事・コミュニケーション・データ分析・法令知識を組み合わせたジェネラリスト的役割です。
- ●組織行動学・D&I理論・心理的安全性の基礎知識
- ●アンコンシャスバイアス等の研修設計・ファシリテーション
- ●人事データ分析(多様性指標・採用・定着・昇進データの可視化)
- ●労働法規・女性活躍推進法・障害者雇用促進法の理解
- ●英語コミュニケーション(外資系は特に必須)
- ●ステークホルダー巻き込み力(経営層・現場への説明・提案)
DEI担当に転換しやすい職種
どの職種からDEI担当への転換がしやすいか解説します。
- ●人事全般(採用・育成・制度設計)→ DEI推進担当への自然な発展
- ●労務・コンプライアンス → 法令対応DEI担当
- ●社会学・心理学・教育学出身者 → DEI研修・組織開発担当
- ●NGO・NPO・社会課題系の経験者 → 企業DEI推進担当
- ●外資系企業勤務経験者 → グローバルDEIの知識を活かした転換
転職活動の進め方
DEI担当職への転職を成功させるための方法を解説します。求人の探し方にもコツがあります。
おすすめ転職エージェント
DEI担当職は人事・HR系の求人に強いエージェントで見つかりやすいです。
- ●リクルートエージェント:人事・労務・D&I関連求人が豊富
- ●JACリクルートメント:外資系CDO・グローバルDEI担当に強み
- ●ビズリーチ:大手のDEI責任者・HRBPポジションへのスカウト
- ●パソナキャリア:女性活躍・ダイバーシティ関連求人に注力
DEI担当職のキャリアパス
DEI担当としてのキャリアは、専門性を深める道と経営に近づく道の両方があります。
人事ジェネラリストからの発展
採用・育成・制度設計など人事全般を経験した後、DEI推進担当として専門性を深めていくキャリアパスです。人事の基礎知識を土台に、多様性推進の専門性を積み上げることで、DEIマネージャー、将来的にはCDO(最高多様性責任者)を目指すことができます。人事全般の経験があることで、施策を全社的に浸透させる実行力も評価されやすくなります。
専門コンサルタントとしての独立
企業内でのDEI推進経験を積んだ後、複数企業のDEI戦略策定を支援するコンサルタントとして独立する道もあります。特定領域(女性活躍・LGBTQ+インクルージョン・障害者雇用等)に特化することで、専門性の高いコンサルタントとして高単価の案件を獲得できる可能性があります。講演・執筆活動を通じて専門家としての認知を広げる方も増えています。
グローバル企業でのキャリア展開
外資系企業のDEI担当は、グローバル本社との連携機会が多く、英語力・国際的な視点を磨くことができます。将来的に海外拠点のDEI責任者や、グローバルDEI戦略の統括ポジションへのキャリア展開も視野に入ります。海外赴任のチャンスを得られる可能性もあります。
転職成功事例
実際にDEI推進分野へ転職した方の事例を紹介します。
事例1:人事担当からDEIマネージャーへ(30代・年収130万円アップ)
大手メーカーの人事部で採用業務を担当していた30代が、外資系企業のDEIマネージャーへ転身。人事全般の知識に加え、大学院で学んだ組織行動学の知見が評価され、年収は600万円から730万円にアップしました。転職エージェントとの面談で、これまでの採用業務で培った「多様な人材への理解」を再定義してアピールしたことが成功のポイントでした。入社後は全社的な研修プログラムの刷新にも携わっています。
事例2:NPO職員から企業のDEI担当へ(20代後半・専門性を確立)
障害者支援のNPOで働いていた20代後半が、大手企業の障害者雇用コーディネーターへ転身。現場での実務経験と当事者・支援者双方の視点を理解している強みが評価され、入社後すぐに全社的な合理的配慮の制度設計を任されました。NPO時代のネットワークも、外部との連携で大いに役立っています。
面接で評価されるポイント
DEI担当職の選考では、知識だけでなく実践的な視点が重視されます。
- ✓多様性を「コスト」ではなく「経営価値」として語れるか(ビジネスケースの理解)
- ✓具体的な施策の企画・実行経験があるか(研修設計・制度導入等)
- ✓定量的な効果測定の視点を持っているか(多様性指標の可視化・KPI設計)
- ✓反対意見・抵抗勢力への対応経験があるか(変革推進の現実的な難しさへの理解)
- ✓自身のバイアスに向き合い、継続的に学ぶ姿勢があるか
DEI領域別の専門性の違い
DEIは幅広い領域を包含する概念であり、専門性によって求められるスキル・アプローチが異なります。
女性活躍推進
管理職登用・育児との両立支援・アンコンシャスバイアス研修などが中心テーマです。女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・数値目標の設定・進捗管理などの実務スキルが求められます。人事制度全般への理解も重要で、評価制度・昇進基準との整合性を取る視点も欠かせません。
LGBTQ+インクルージョン
同性パートナーシップ制度の導入、社内規定の見直し、アライ(支援者)育成プログラムの企画などが中心です。当事者コミュニティとの関係構築・センシティブな情報の取り扱いへの配慮など、繊細なコミュニケーション能力が求められます。プライバシーへの配慮を最優先にした施策設計が特に重要です。
障害者雇用・合理的配慮
法定雇用率の達成に向けた採用戦略に加え、就業環境の整備・合理的配慮の提供など、実務的できめ細やかな対応が求められます。障害者職業生活相談員などの資格が評価されるケースもあります。現場のマネージャーとの密な連携も欠かせません。
外国籍人材・グローバル人材活躍推進
外国籍社員の採用・定着・キャリア開発支援が中心テーマです。異文化理解・多言語対応・在留資格に関する基礎知識など、グローバルな視点が求められる領域です。海外での生活・就労経験があると、実感を伴った施策設計がしやすくなります。
DEI担当職への転職準備でやるべきこと
専門性の高いDEI担当職への転職を成功させるための具体的な準備を紹介します。
自身の経験の棚卸しと再定義
人事・NPO・教育などこれまでの経験の中で、多様性・公平性に関わった経験を洗い出し、DEIの文脈で語れるように再定義しましょう。直接的なDEI経験がなくても、「多様な立場の人と向き合った経験」は必ず見つかります。家庭・地域活動での経験も棚卸しの対象に含めてみましょう。
業界動向・先進事例の研究
他社のDEI施策・年次報告書(サステナビリティレポート等)を研究し、業界標準となっている取り組みを把握しておきましょう。面接で「他社の事例を踏まえた自身の考え」を語れると、高い評価につながります。海外の先進企業の事例も参考にすると、視野の広さをアピールできます。
社内外のネットワーキング
DEI関連のカンファレンス・勉強会に参加し、実務者同士のネットワークを構築しておくことで、非公開求人や貴重な情報にアクセスしやすくなります。専門コミュニティでの発信・活動実績も、転職市場での評価につながります。
DEI推進を巡る企業の課題とリアルな実態
転職を検討する際は、DEI推進の理想と現場の実態のギャップも理解しておくことが重要です。
「形だけのDEI」に陥る企業のリスク
経営層の本気度が低く、DEI推進が広報目的の「形だけ」になっている企業も存在します。面接では「経営層のDEIへのコミットメント」「予算・人員の配分」を具体的に確認し、実態を見極めることが重要です。数値目標の有無や進捗の開示状況も、本気度を測る指標になります。
DEI担当者自身の孤立というリスク
少人数・専任1名体制でDEI推進を任されるケースも多く、社内で孤立しやすいポジションでもあります。経営層のスポンサーシップ(後ろ盾)の有無、他部署との連携体制が整っているかを確認しておくことで、こうしたリスクを事前に把握できます。社外の同職種コミュニティに参加しておくことも、孤立を防ぐ有効な対策です。
DEI推進職の今後の展望
この分野は今後も成長が見込まれる一方、専門性の深化が求められるようになっていきます。
データドリブンなDEI推進へのシフト
感覚的な取り組みから、多様性指標を定量的に測定・分析するデータドリブンなアプローチへの移行が進んでいます。人事データ分析のスキルを持つDEI担当者は、今後さらに市場価値が高まると予想されます。BIツールを用いた可視化スキルも重宝される時代になりつつあります。
グローバル基準との整合性
ESG投資の拡大に伴い、国際的なDEI基準(GRI・SASB等)への対応も求められるようになっています。国際的な基準・フレームワークへの理解を深めることで、グローバル企業でも通用する専門性を確立できます。海外の先進事例を学び続ける姿勢が長期的な市場価値の維持につながります。