航空整備・MROの仕事内容と活躍場所
航空整備士・MROエンジニアの業務と主な職場を解説します。
航空整備士の主な業務内容
航空整備士の業務は整備の種類と対象機種・システムによって分類されます。①「ライン整備(Line Maintenance)」——出発前・到着後の日常点検・フライト間整備で、機体外部の目視確認・エンジン始動点検・液体補充・不具合の初期対応を行います。空港の格納庫・エプロンで作業し、フライトスケジュールに合わせた時間制約の中で安全確認を行います。②「重整備・オーバーホール(Heavy Maintenance・C/D Check)」——数年ごとに実施する機体の分解・詳細点検・修理・部品交換を行う大規模整備です。胴体の腐食検査・構造修理・エンジンのオーバーホール・アビオニクス(航空電子機器)のアップデートが含まれます。③「エンジン整備(Engine MRO)」——CFM56・GE90・PW1100G等の航空エンジンの分解・部品交換・試運転を担当するエンジン整備士。エンジンメーカー認定の資格・トレーニングが必要で、専門性が高く処遇も高い分野です。
④「アビオニクス・電子機器整備(Avionics)」——フライトマネジメントシステム(FMS)・自動操縦装置・航法システム(ILS・GPS)・衛星通信・エンターテインメントシステムの点検・修理・ソフトウェアアップデートを担当します。電子工学・ソフトウェアの知識が必要な領域でITエンジニアの航空業界への転身が見られます。⑤「コンポーネント整備(Component MRO)」——航空機の各部品(ランディングギア・アクチュエーター・油圧部品等)を機体から取り外してオーバーホール・修理する部品専門の整備工場での業務。⑥「ドローン・UAV整備」——産業用ドローン(農業・測量・インフラ点検)の定期点検・修理・部品交換を担う新興分野で、無人航空機整備士の養成が始まっています。
- ●ライン整備:空港での出発前日常点検・不具合初期対応(時間制約あり)
- ●重整備(C/Dチェック):機体分解・腐食検査・構造修理・大規模整備
- ●エンジン整備(Engine MRO):航空エンジンの分解・部品交換・試運転
- ●アビオニクス:FMS・自動操縦・航法システム・衛星通信の整備
- ●コンポーネント整備:ランディングギア・油圧部品の専門オーバーホール
- ●ドローン・UAV整備:産業用ドローンの点検・修理(新興分野)
航空整備の主な職場と業界構造
航空整備士の主な職場と特徴として、①「航空会社(ANA・JAL・スカイマーク・LCC各社)の整備部門」——自社機材の整備を担当するIn-house MRO。ANAエアラインズ(ANAHD)・JALエンジニアリングは日本最大の航空整備組織で、整備士・エンジニア・品質保証担当が多数在籍します。LCC(ジェットスター・ピーチ・スプリング)は機材台数が少なく整備部門は小規模ですが成長中です。②「独立系MRO企業」——航空会社から独立したMRO専業企業(ST Engineering・Lufthansa Technik・SR Technics等の外資系MRO・国内では日本エアシステム航空整備等)が航空会社・リース会社から整備委託を受けます。
③「航空機メーカー・エンジンメーカーのサービス部門」——Boeing(Boeing Global Services)・Airbus(Airbus Services)・GE Aviation・Pratt & Whitneyはメーカーとして整備・アップグレード・スペアパーツ供給を担うフィールドサービスエンジニアを国内外に配置しています。④「自衛隊・防衛省」——航空自衛隊・海上自衛隊の航空機整備員は民間航空整備士資格取得者に比肩する技術訓練を受けており、除隊後の民間航空業界への転職が多く見られます。⑤「官公庁・国土交通省航空局(JCAB)」——航空機の型式証明・整備規程審査・航空整備士試験の管理を行う行政側のポジション。
- ●航空会社整備部門(ANA・JAL):自社機材の整備・メンテナンス・品質保証
- ●独立系MRO(ST Engineering・Lufthansa Technik等):委託整備・グローバル運営
- ●航空機メーカー(Boeing・Airbus等):フィールドサービスエンジニア・サポート
- ●自衛隊→民間:航空自衛隊整備員が民間航空業界へ転身(資格・経験が評価)
- ●エンジンメーカー(GE・PW・Rolls-Royce):エンジン専門のMROサービス
- ●国土交通省航空局:型式証明・整備規程審査・航空整備士試験管理
航空整備士の年収・資格・転職方法
航空整備士の年収水準と転職に必要な資格・準備を解説します。
年収水準と航空整備士資格
航空整備士の年収は所属機関・職位・保有資格によって異なります。ANAエンジニアリング・JALエンジニアリングの整備士(中堅・5〜10年):年収500〜800万円、重整備・エンジン整備のシニア技術者:年収700〜1,000万円、MRO企業の品質保証マネジャー・整備技術マネジャー:年収700〜1,200万円、航空機メーカーのフィールドサービスエンジニア(Boeing・Airbus):年収800〜1,500万円(外資系高水準)です。自衛隊整備員からの転職では、民間での初年度から400〜600万円程度からスタートし、資格取得・経験で昇給するケースが多いです。
航空整備士資格として、①「航空整備士(一等・二等)」——国土交通大臣が発行する国家資格で、航空機の整備・確認(整備後の飛行可能確認)を行うために必要です。一等整備士は事業用の大型航空機(大型旅客機)の確認業務が可能、二等は小型機。一等整備士は難関資格で航空大学校・専門学校・訓練機関での養成課程の修了または実務経験(3〜5年以上)後の試験合格が必要です。②「EASA Part-66(欧州航空整備士ライセンス)」——欧州基準のMROライセンスで、外資系MROやグローバル航空会社での勤務に必要なケースがあります。③「FAA A&P(Aviation Mechanic Certificate)」——米国の航空整備士資格で、ボーイング機の整備に関わる場合に加点される資格。
- ●大手航空会社整備士(中堅):年収500〜800万円
- ●航空機メーカーFS(Boeing・Airbus):年収800〜1500万円(外資)
- ●航空整備士(一等):大型旅客機の確認業務に必要な国家資格・最難関
- ●航空整備士(二等):小型機の整備・確認業務の国家資格
- ●EASA Part-66:欧州基準のMROライセンス(外資系MRO対応)
- ●FAA A&P:米国航空整備士資格(ボーイング機整備で有利)